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天鏡のアルデラミン/13話感想(終)炎の対決ジャンとイクタ、武力と智略が入り混じる大舌戦!勝つのはどっち!? そしてシャミーユ姫の国を滅ぼす大計画発動!

   

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ジャンの奇襲によってついに火線防御陣を破られた帝国軍。果たしてこの窮地をイクタはどう凌ぐのか?

ついに両雄が直接相対するねじ巻き精霊戦記天鏡のアルデラミン最終回、第十三話『たそがれの帝国にて』のレビューです。

12話感想

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絶体絶命の窮地に光る才


炎の壁を突破したキオカ騎兵に対し、対策を練るイクタですが彼我戦力差は5対1にも達します。

この劣勢をどう挽回し切り抜けるか――効果的な策も思いつかない中、イクタはマシューに指揮権を移譲、ハロと共に突破された箇所以外の火線防御陣をこれまで同様の機動防御で守るよう指示、2日後撤退をする様命じます。そしてそこで無事再会出来ることを約束して。

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ヤトリ、ナナクら近接攻撃部隊を率いてキオカ騎兵の迎撃に向かうイクタ。

敵軍に先行して有利な迎撃地点で陣を張ることには成功しますが、圧倒的戦力差かつ敵の機動力とエアライフルの長射程、2つのアドバンテージを封じなければ勝機はありません。

しかも敵を足留めするだけではダメなのです。敵部隊を討ち破り炎の壁の向こうに押し返し、突破された火線防御陣を早急に組み立て直す必要があります。

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斥候から戻ったヤトリから報告を受けたイクタはそこであるアイデアを咄嗟に思いつきます。敵将の戦術・センス・思考…それらを総合し、読んで思い付いたこと。それは――

十重二十重の罠

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一方停滞した戦況を打ち破ったジャンは一気に攻め込もうとしますが、帝国軍が早くも迎撃に陣取っていることを察知。

敵陣を突破するのは容易と思われましたが、しかしジャンは辺りに立ち込める油の臭いからこちらが近づいたところで火計を仕掛ける罠があることを見抜きます。

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火矢ボウガンより射程の長いエアライフル部隊を前面に出し横列に並べ一気に殲滅を図るジャン。しかし、そうさせることこそがイクタの用意した第一の罠だったのです。

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何かがおかしいとジャンが気付いた瞬間でした。帝国軍は行動を起こします。

油を仕込ませた藁は釣りの餌、その下に掘った塹壕にイクタら光照部隊とシナーク族部隊が潜んでいたのです。大量の光を乱舞させ、騎兵より軍馬を狙って攻撃を仕掛ける帝国軍。たちまち戦場は大混乱に陥ります。

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混迷の戦場、立て直しを図るキオカのエアライフル隊。そこにヤトリ部隊が来襲。危険度の高いエアライフルを真っ先に潰すイクタの指示でしょう。

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ジャンの眼前ではこれまで秩序立って完璧に支配統率されていた戦場が見事なまでの混沌カラーに塗替えられてしまいます。イクタの真の目的はまさにこの状況を作り出すことにありました。

亡霊を扱う者は亡霊の影に怯える

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知性で制御出来ない、無秩序大混乱の戦場にジャンのプライドは耐えられない――イクタの作戦の真髄は『合理的に洗練された用兵を持って最も相手が嫌がることをする』こと。まさに読み通り、圧倒的不利な状態から帝国軍とキオカ軍は一時停戦、交渉状態に持ち込むことに成功します。

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降伏を迫るキオカ軍、即時撤退を迫る帝国軍。交渉はすぐにも破談するかと思われましが、話は意外な方向へ展開を見せます。

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全てはこの状況を作り出すためのイクタの罠だったのです。

狙うは最初からたった一人。エアライフルの狙撃がジャンの心臓を狙っていることを告げるイクタ。この戦いで勝ってもジャンが死ねばキオカの敗北は決定的です。

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もちろんジャンにもこれが恐らくハッタリであることは分かっています。しかし前回トルウェイら帝国軍エアライフル部隊が活躍した一手がここで生きてきます。長距離狙撃によってキオカの誇る亡霊部隊は壊滅させられたという運用実績。『銃撃のレミオン』という亡霊の存在がジャンの中で不確定要素となって読みを狂わせます。

イクタの提案通り、撤退を受け入れるジャン。苦渋の決断ですが3日後には労せずしてこの地を占領出来る訳ですから、ここで無理は出来ません。

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イクタ「謹言を授けよう不眠の輝将…『すべての英雄は過労で死ぬ』」

再び炎の壁で別れる両雄。ジャンはイクタに戦う信念を問い質しますが、イクタの答えはジャンが望むものとは、ジャンが信じるものとは程遠いものでした。

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ジャン「ふざけるな!イクタ・ソローク!僕は実現してみせるぞ、かくあるべき世界を!!必ず!」

戦い終わって……

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山地の撤退戦を終え、続々帰還する兵士たち。シャミーユ姫はイクタの安否が気になって仕方ないご様子。

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無事帰って来た騎士団メンバー。サザルーフ大尉やスーヤ、ナナクなど主要メンバーも全員無事でした。

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人目もはばからず喜びを形にする殿下が可愛いです。どれだけイクタのことが好きなんでしょうね(笑)

ヤトリシノ・イグセムという女性

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アルデラ神軍戦で輝将ジャンの読みをイクタが常に上回った要因の一つが彼女の存在でしょう。

高等士官学校に通う17歳。戦時任官とはいえ中尉という重責を担う、旧軍閥名家の筆頭である『忠義の御三家』の一角であるイグセム家の長女です。

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帝室に対して絶対的忠誠を誓っており、行動でそれを示す。その様は敵はおろか部下すら畏怖する程。もはやチートレベル。その『白兵のイグセム』の異名はキオカにも広く知られているくらいです。

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イクタとの連携は戦鬼、鬼神なほど。今回もイグセムの誇りである二刀を振るい、敵指揮官を真っ先に瞬殺しています。イクタの戦術の意味を完全に理解し、その上で最も効果的な戦果を上げる――まさに一対の両腕的存在です。

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しかし戦場以外では女性らしい柔らかな部分も多々見られます。特に周囲や部下に対する気配りや配慮は他の騎士団メンバーと比較にならない程(笑)その武功や戦場の姿から畏怖され、忌避されてもおかしくないですが、部下からの人徳が高いのも頷けます。

あるいは怠け者の司令官を補佐する人格者としての副官――といったヤトリのポジションをイクタが自然と作り出しているのかもしれません。

ここから始まる『約束された敗北に至る物語』

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シャミーユ「上手に負けるのだソローク。軍人も帝室も英雄も大嫌いなそなたに、これ以上の配役はあるまい…だから悩むなイクタ・ソローク、余と一緒に負けるまで戦え!」

ラストはシャミーユ姫が『帝国を外圧によって滅ぼす』決意をイクタに伝えたところで終了。ここから壮大な亡国戦記が始まる――といった感じのラストです。現実に日本みたいに敗戦で国の構造が大きく変化した例はありますが、実際故意にやるとなると相当舵取りが難しいでしょうね。

それこそ敗戦というのは生殺与奪権を相手国に委ねる訳ですから、ただ戦いの勝ち負けに興ずるのではなく、敵側の指導者層に姫側の理解者を増やし、戦後処理を操作していかねばなりません。政治的領分も含んだ戦記物、とても面白いと思いますのでぜひ2期を期待したいところです。

さて夏季アニメもこれで終了。長い間ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミンの感想をご覧頂きありがとうございました。また次の作品でお会いしましょう!

それはそうと、結局『ねじ巻き』ってどんな意味を含んでいたのでしょうね…?

(ごとうあさゆき)

12話感想

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