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落第騎士の英雄譚/意外とダークサイドにいた一輝 リア充だけど不思議と感動を呼んでしまう主人公の不幸と幼さ

      2015/12/19

いよいよ落第騎士も残すところ1話となりましたね。

ダークサイド13
相手は珠雫を打ち倒した強敵、東堂刀華ですが…期待される戦闘シーンとは裏腹に、既に心身ともにボロボロな一輝をこれ以上痛めつけないでくれという想いも否めないところ。

ダークサイド2
「君が雷切に勝てば、我々はこれ以上の追及はやめましょう」
▲ そういう意味では、11話の鬱演出は成功したと言える

監禁24
一輝の厳を前にして吐露された父親に対する想いはひどく必死で、そしてそれは厳の息子に対する感情同様、歪んでもいました。もちろん一輝が自覚するところではなく、自覚がなかっただけに、父親の冷たい言葉は無情にも鋭利な刃として、一輝の心を抉っていきました。

ダークサイド15

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一輝の冷徹な一面

一輝とステラの恋愛は、原作1巻にしてヒロインが集まらないうちから交際にいたるほど進むのが速く、そして一途で、そのために落第騎士というラノベ作品を割と早いうちからラノベ的テンプレと呼ばれる、いわゆるハーレムなカテゴライズから脱出させていました。

でも、きちんとそこは流行りというか、「実は最強な主人公系」に相当する一輝には、妹に対する感情以外をなくしてしまった劣等生の司馬達也と同じく、最強なりの影というものがあります。

絢辻_一輝3
特に3話の犯罪組織のリーダーであるビショウとの戦い。その一幕は、あおり図の戦闘はもちろん一輝の作中屈指のイケメンっぷりを見せてくれました。ですが、ビショウに対する腕を切り落とすという仕打ちは、唯一の残虐シーンで、その実最初に明らかになった一輝のダークサイドな一面であったかもしれません。

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一輝の穏やかな性格に隠されたダークサイドな一面。それは11話で大々的に演出され、アニメオリジナルな一幕で新宮寺黒乃と珠雫が驚いていたように、黒鉄家と父親に起因するものでした。

誰からも興味をもたれなかった家庭環境

黒鉄家_一輝
黒鉄家が一輝にもたらした仕打ちは、いわゆる冷たい家族付き合いというもの。ただしそこには、「仕事が多忙」以上の名家らしい現実、伐刀者の素質による階級制度のようなものがあり、魔力量が著しく劣るという伐刀者の才能に欠いた一輝は、冷たい家族付き合い以外にも誰からも下に見られ、誰からも興味を持たれないという悲しすぎる現実がありました。「一輝が黒鉄家から虐げられた理由」

それは家を出入りする数々の門下生たちの眼差しにも同じことが言え、伐刀者の才能に長けた兄の王馬や妹の珠雫へ厚遇っぷりはもちろん、そうした辛い幼少期を過ごした一輝は、ついに家出を決意します。

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▲ その早熟な聡明さで、嫌気が差しながらもそんな黒鉄家の決まりに従っていた珠雫は、おそらく初めてぶたれたこと、「珠雫は間違っているよ」の一輝の指摘で目が覚めた

黒鉄龍馬という希望

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吹雪く中でも飛び立たせた幼い一輝の心境は、考えずとも分かること。だからこそ、一輝を介抱し、希望の言葉をくれた黒鉄龍馬はいつまでも一輝の力となりました。

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もし、黒鉄龍馬がいなかったら、一輝はどうなっていたか。雪の中で短い生涯を終えたかもしれないのはもちろん、破軍学園には入学せず、厳の「何もしなければ認める」意思のまま、黒鉄家関連の雑事をこなす日々を送っていたり、いわゆる剣を収める術を持たないまま正義を貫いて、犯罪者になっている可能性もなくはありません。(ただ慕っていた珠雫の存在もありますし、“そういう”巡り合わせを迎えるのが遅いか早いかの問題で、やっぱり剣術を極めようとするのは一番近い気はします。)

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そんな一輝にとって光の存在でもある黒鉄龍馬ですが、その希望は一輝を一流の剣客にしたのと同時に、一輝の黒鉄家にまつわる闇、特に黒鉄厳に対する闇を隠しました。

子供の頃にできなかった父親に認められたい欲求

家庭環境に難があった子供は、親との大喧嘩であれ、自身によるメス入れであれ、長い時間であれ…いずれその家庭環境と自分なりにケリをつけます。

それはもちろん解決が早ければ早いほど、その生き方に悪い影響は与えません。ですが、体を鍛えぬき、剣術を磨き上げることに明け暮れた一輝には、その強さと引き換えに16歳の11話のその日まで、親子関係や家庭環境を整理する日はおそらくなかったのでしょうね。

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▲ 隣で寝ている恋人のステラがありながら「自分は誰のために戦うのだろう」と考えるこの一幕には、人に期待されなかったから本心では自分も人に期待してこなかった人間の生々しさもある

「ケリをつけてこい」とぼやいた新宮寺黒乃が驚いたのは、一輝の中に父親に認められたい欲求が多分にあったこと。珠雫が驚いたのは、兄が実はそんなにも深い闇を抱えていたこと。

ダークサイド12
実は二人とも考えが少しずれていて、黒乃は一輝のその潔い性格から黒鉄家ときっぱり縁を切っているものと考えていましたし、珠雫と言えば、自分をぶち、堂々と指摘した兄の姿とその自分を上回るその強さが、いつまでもその孤独に打ち勝ち続けていました。黒乃は上から、珠雫は下から一輝を期待を込めた目と英雄を見る目で見ていたのですね。

そんな二人と対照的に描かれているステラ

教育者から、妹という立場から、一輝の二人への態度もそうですし、そう見えても仕方が無かったとも言える二人とは裏腹に、他人のステラは留学前の過去の一輝を知りません。ですが、二人と同じで、負けることで一輝を見直すようになり、珠雫との激しいやり取りもあってかストレートな知りたい欲求が湧き出てきます。

ダークサイド19
「一輝は、存在しない者みたいに扱われてたの…?」

そこに黒乃のように、上から期待を込めないのは、負けて“奴隷”になったから(負けず嫌いなのもある)。下から英雄視しないのは、自分の国で既に天才騎士ともてはやされ、英雄視というものを知っているから。また、一輝の過去を知れば知るほど「強くなるため」がほぼ占めていた自分の過酷な鍛錬の日々とそれによって失われた年相応の感情、青春を思い出し、素直に同調できたことも由来します。

ステラが一輝に惹かれたように、一輝がステラに惹かれるのは、黒乃が原作で「お前のようにまっすぐに育てた御仁なのだからな」と語ったように、ステラの性格が父親と似て分かりやすいのもあったでしょうね。二人とも恋愛に初心で、相性バッチリのはもちろん。(1話にして、ステラを今期最高のヒロインで、おそらく性格的意味で最高の女と言った人がいました(笑)。

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ただやっぱり、一輝の“今”という同じ時間を過ごさせることになる、ルームメイトにした黒乃が二人をくっつけたと言っても過言ではありません。

そこには“ライトな”層のための、“英雄譚的な”感動がある

一輝は、父親から受けた絶望から立ち上がらなければなりません。

もし、それがこんな悪魔のやり口な選抜戦の途中でなかったら、立ち上がるためにいくらでも時間をかけてよかった。だけど、時間は刻々と迫っている。体もボロボロで動かない。

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そんな一輝の脳裏にかすめるステラとの「頂点で戦う」約束は、同時にクラスメイトでもなく、ルームメイトでもなく、はたまた普通の恋人と交わされたものではない想いに改めて気付かされます。

ダークサイド20
ずっと傍にいてくれたのは一体誰なのか。こんな自分をいつも好きだと言ってくれるのは誰なのか。

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それは一人の孤独な少年の、親と家という誰にでもある内なる戦いがようやく終わり、あるようでなかった、たった一人の戦士でお姫様なヒロインに冷たかった心が溶かされる瞬間でもあります。

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「はい、あたしを一輝のおよめさんにしてください」

 - 落第騎士の英雄譚

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