天鏡のアルデラミン/7話感想 帝国に内乱勃発!? 北域に吹き荒れる戦いの嵐!果たしてその裏で糸を引く者は?
2016/08/28
北域出張の演習にやってきたイクタ達新人士官候補生。一見平和で穏やかそうに見えた北の大地では、しかし大きな腐敗の進行と共に策謀が渦巻いていた――少数民族の蜂起から戦乱の幕が上がるねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン第七話『カトヴァーナ北域動乱』のレビューです。
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2016/08/28
北域出張の演習にやってきたイクタ達新人士官候補生。一見平和で穏やかそうに見えた北の大地では、しかし大きな腐敗の進行と共に策謀が渦巻いていた――少数民族の蜂起から戦乱の幕が上がるねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン第七話『カトヴァーナ北域動乱』のレビューです。
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前回軍事訓練を勝手にサボって地下の反省房送りになったイクタ。ようやく牢から出ることを赦されたイクタは他の騎士団メンバーと合流します。
地下で見たものを他のメンバーに、特にヤトリにも口外しないのは箝口令を守ってのことなんでしょうね。軍令を守るというより秘密を知ることで彼らの身に累が及ばない様にしているのかもしれません。過去が過去だけにその辺りさすがに慎重なのでしょう。
シャミーユ姫の膝枕にハロの水、ヤトリの差し入れとお大臣待遇を満喫するイッくん(笑)姫様もまんざらじゃないところが可愛いですね。
姫の御御足を「もっと肉付きが良い娘がいいですね」と寸評するイクタに激おこプンプン丸になる姫様。実に歳相応で可愛いらしいです(笑)
補給部隊の護衛を指揮して近傍の町に出向くトアック少佐とヤトリ。退屈な任務で済まないと謝るトアック少佐、いくら相手が名家イグゼムの娘とはいえ、一介の士官候補生に対しても腰の低い、いわゆる『いいひと』なのが分かります。公式サイトの設定によると少佐、咳が多いのは肺に病があるからだそうです。
「平和のために戦いがあるのであって、戦いのために平和が食い潰されるべきではありません」
軍の存在意義と戦争論を語る二人。それは図らずも現在の北域の様相を表していました――
補給部隊の荷車に便乗して町を訪れたイクタはカンナを引き連れ町巡り観光(ついでにナンパ)を開始します。
カンナとの会話で北域鎮台の実態をちゃっかり情報入手するイクタ。この辺りの地道で綿密な情報を多角的に分析するところがイクタらしいですね。自分の目と耳だけで得られる情報や印象では偏ってしまいがちです。
反省のため独房に収監されたイクタが地下牢で見たもの。それは山岳民族シナーク族のパートナー精霊達が光差さぬ牢獄に閉じ込められた姿でした。
精霊信仰の強いシナーク族に対し明らかにこれはやり過ぎです。上官であるサザルーフ中尉は、この強引な処置によりここ2年シナーク族の反抗心は大きく弱まって効果を出しているとは言ってはいますが。
しかしこれは単に問題を先送りに…いえ、逆に内に燻ぶる分、火種はより強く根深く大きく燃え広がっていきます。抑圧を強くすれば強くするほど、後でやって来る反発は大きくなるというものです。
しかもシナーク族に戦争を起こす大義名分を与え。国内勢力――特に精霊を神のしもべと見なす宗教関係者と軍の間に余計な軋轢を生みかねません。対外戦争中の状況の今において、国内で紛争の火種を抱えるのは非常に危険…というより利敵行為と言われても仕方ないでしょう。
町の有力者の元を挨拶に訪れたトアック少佐達はそこでシナーク族の急襲を受け有力者共々全滅してしまいます。
銃声で少佐達が襲われたことを知ったヤトリは護衛部隊と合流、そのまま逃走する襲撃犯を追います。町の郊外まで追跡をするヤトリ隊ですが、そこでシナークの待ち伏せの罠に気付き進軍の手を止めます。
族長ナナクが出現。ヤトリはそこでシナーク族の宣戦布告を受けてしまいます。
中将「…どうやら大掛かりな駆除の時期が来たようだな」
宣戦布告の報告を受けほくそ笑む中将。ある意味彼の立てた計画通りなのかもしれませんが、果たしてこの事態が彼の手に余る物なのでしょうか…? それにこの絵を描いたのは本当に彼自身なのか…?
准尉「相手が怨敵キオカであればな。騎士の剣とは断じて殺戮するための凶器ではない!」
シナーク族の蜂起を知り動揺と同時に亡くなった少佐の弔い合戦に意気上がる鎮台内。しかし意外なことに脳筋熱血漢タイプのデインクール准尉は正論で仲間の論調に釘を刺します。信念は正道。単なる脳筋戦争狂ではなく、騎士の剣を向ける先をきちんと考えるタイプだった模様です。
イクタは族長が宣戦布告の際に発した『聖戦』という語彙に引っ掛かります。
山岳系狩猟民族であるシナーク族は日常が生存競争。戦いを挑むためにわざわざかしこまったお題目を必要とするはずありません。先の襲撃現場に残された教団服といい、明らかにシナーク族とは違う、別の何者かの悪意を感じているのでしょう。
シャミーユ姫は身の安全を確保するため、後方の基地へと送られることになりました。中央の基地や王都ではなく、北域にある基地の中で最も南部に位置する場所に退避というのがあからさまですね。今回の動乱に際しての対応が軍令部からの命令ではなく、中将の独断であろうことをイクタは見抜いています。
イクタに呼び出されたトルウェイは密かに新型銃を渡されます。恐らく前回登場したアナライの匣の科学を応用した銃でしょう。ライフリングが切ってあるのか、あるいは回転リボルバー搭載で連射が可能になっているのか。
どちらにせよ今後の戦闘の切り札になりそうな武器です。「慣れておけ」というのも状況によっては投入を考える――つまり、イクタが考える状況はそれだけ逼迫しているのかもしれません。
今回北域動乱の発生で本格的な内乱状態に陥った帝国。果たしてこれは偶然なのでしょうか? シナーク族を扇動する何者かの影、現場に残された教団の巡礼服といい、中将の安易なシナーク族虐待といい、裏で絵を描いている何者かの思惑を感じます。
帝国が混乱に陥ることで漁夫の利を得る――何者の仕業なのでしょうか。そしてこの事態にイクタと騎士団はどう対処していくのか。物語もいよいよ終盤戦、常怠常勝の智将(と呼ばれるようになる)イクタ・ソロークの知略と仲間達の活躍に期待したいところです!
(ごとうあさゆき)
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