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岡村天斎が生み出すクロムクロのアクションに病みつきになれ!剣之介の戦う『鬼』の謎は今後どう明らかになる?

      2016/05/03

コラム岡村①クリムクロ
岡村作品の魅力は何と言ってもカッコいいアクション!

今季アニメで既に放映されているP.A.WORKS初のオリジナルアニメ「クロムクロ」ではロボットと侍によるバトルアクションが繰り広げられています。氏の技術とロマンに溢れたカッコ痺れる剣戟アクションに是非注目!

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スタイリッシュなアクションが真骨頂。一瞬足りとも目を離すな!

コラム岡村②クロムクロ走る
クロムクロ序盤でもその力量を遺憾なく発揮。氏の得意とするアクションのシーン自体の高い完成度もさることながら、何と言っても場面と場面の繋ぎで細かな動き多用する点。その回のメインディッシュであるバトルシーンに至るまでのシークエンスが見事です。

コラム岡村③剣之介
目まぐるしく変化する状況、キャラクターの置かれた状況や心情、決断のポイントなど多くの情報がきちんと明示され、まるでパズルのピースがキチンとハマるが如く視聴者は情報を受け入れ、気持ちよくアクションシーンへと叩き込まれていきます。

コラム岡村④バトル
この辺りに不自然なところがあると、キャラクターの行動や考えにブレが生じ、物語の展開が進むにつれ登場人物と視聴者の気持ちに乖離が生まれることになりますからね。

簡単の様に見えて意外と匙加減が難しい。氏は『絵』としての動きと『話』としての動きを理解している稀有な監督と言えるでしょう。

岡村天斎プロフィール

コラム_青エク
それでは改めて軽く氏の経歴を。

クロムクロで監督を務める岡村天斎は大学卒業後マッドハウスにアニメーターとして入社。「SF新世紀レンズマン」の動画で業界デビュー。川尻善昭作品等でキャリアを重ね「YAWARA!」で演出家デビュー。「MEMORIES~最臭兵器」で監督デビュー。マッドハウスを退社後はフリーのアニメーターや演出家としてProduction I.GやA-1 Picturesなどで活躍しています。

作品ジャンルは原作付き(少年マンガ、少女マンガ、ラノベ系問わず)から完全オリジナル、マニア向けの深夜アニメからギャグ・コメディのキッズアニメまで多種多様。監督としての代表作は「メダロット」「WOLF’S RAIN」「DARKER THAN BLACK」「青の祓魔師」「七つの大罪」など。

コラム_SAO
▲ ソード・アート・オンライン(2012)

演出家としては「ソードアート・オンライン」「カウボーイビバップ」「桜蘭高校ホスト部」「攻殻機動隊」、ロボットアニメでは「フルメタルパニック」「ラーゼフォン」「新世紀エヴァンゲリオン」などに参加。

萌えアニメの「ビビットレッドオペレーション」や女性向けの「絶園のテンペスト」でも氏の名前を拝見します。ちなみに歴代のP.A.WORKS作品では「花咲くいろは」「TARI TARI」「凪のあすから」などに参加。

氏の作品リストを見るとやはり目に付く特徴は『アクション』でしょう。
日常系や少女マンガ、萌え系など普段アクションを売りにしない作品でも氏が演出で呼ばれる回は大体が動きメインの回だったりするので業界内の評価もその辺りなのは間違いありません。

スタイリッシュアクションとは?

コラム岡村⑤川1コラム岡村⑤川2コラム岡村⑤川3
アニメは複数の絵で動きを表現する作品です。その『動かし方』にはアニメーターの個性が大きく影響します。

中でも『個性的な動き』をするものが実際のフィルムになった際、『無駄でオーバーな動きだが、非常にカッコいい』となる。それがいわゆる『スタイリッシュな動き』です。

例えばクロムクロ3話における剣之介とカクタスとの戦いを見てみましょう。

コラム岡村⑥吹っ飛び3コラム岡村⑥吹っ飛び4コラム岡村⑥吹っ飛び5コラム岡村⑥吹っ飛び7コラム岡村⑥吹っ飛び8コラム岡村⑥吹っ飛び9
わずか一瞬の攻防ですが、剣之介はカクタスに攻撃を避わし、攻撃、しかし受け止められたので一回転して体勢を立て直そうとするも力任せに吹っ飛ばさる。

・カクタスの攻撃を剣之介下に躱して避ける
・剣之介の攻撃、カクタス防ぐ
・剣之介勢いで止まれない
・回転することで遠心力に変える
・遠心力を利用して自らバックステップ
・体勢を立て直そうとするも追撃を受けて吹っ飛ばされる

このプロセスをわずか一瞬に込めています。

その場で鍔迫り合いを行い、吹っ飛ばされるだけでも十分戦いの流れは成立する訳ですが、こういった一見無駄な動きを積み重ねることによって、より『スタイリッシュ』な動きの作品に昇華するのです。

コラム岡村⑦川滑り
もちろん作画や中割動画だけでなく、カメラワークやカット割り、どう情報密度を上げるかなど等、いかに華麗にカッコ良く見せるかの工夫やセンスが必要となる総合演出なんですけどね。

淡々としたストーリーの中に忍び込むうっかり見過ごしかねない重要な情報

コラム岡村⑧パフェ
氏の特徴はスタイリッシュなアクションと書きましたが、では氏の描くストーリーテラー(物語の噺家)としての特徴は?と言いますと――これはもうズバリ一言で言って「あえて無駄な説明を省く」という点にあるでしょう。

氏の作品ではほとんどにおいて登場人物の視点で物語は進みます。本編中で描かれる内容が全て。語り部はほとんど存在せず、それぞれの登場人物はその時々において知り得る情報以上のことを知ることは出来ません。つまりそれは視聴者も同様ということです。

コラム_富良野
例を上げると富野作品では敵対する相手が自分の心情から計画の本当の目的までペラペラと勝手に喋ってくれます。戦っている最中ですら大弁論大会を繰り広げ、敵味方で激しいディベートを行います。(善悪ではなく各々が戦いの中で持論をぶつけ合う。勝者が正論扱い。それが富野氏の作風です)

コラム_大罪
▲ 七つの大罪(2014~2015)

ですが岡村作品ではほとんど敵の心情や目的、計画の全貌が語られることはありません。戦うときはただひたすら淡々と戦うだけです。倒された敵もせいぜい辞世の句を述べるくらいなので真の狙いや計画の全貌といった重要なポイントが明らかにならないまま物語が終わることさえしばしばあります。

ですから観る人によってはあまりにも不親切で分かりにくいと言われることも。作品の評価が極端に落ちることさえままあります。

コラム岡村_1
▲ DARKER THAN BLACK -黒の契約者-(2007)

岡村作品(特にオリジナル作品)では時間の流れが淡々と過ぎる描写が演出としてままあります。静と動、動のアクションが派手で無駄な動きが多い分、静の際には余計に無駄を極限まで削ぎ落とし、セリフすら削ってあえて淡々と描く。そうすることでより動のアクションを引き立たせている目的があるのかもしれません。

この辺りは師に当たる川尻善昭監督の強い影響(オトナっぽい作風)が出ていると思われます。セリフで心情解説をするより絵とBGMが生み出す雰囲気で理解を求める。これは舞台劇より叙情映画的嗜好が強いとしか言えません。

ですが逆にそのテイストを熱烈に支持する層もいます。筆者もその一人です。

それに氏はキャラクターには語らせませんが、理解に必要な最低限の情報は大体作品内に提示していくスタイルを取っています。

コラム岡村⑨姫回想
しかしその情報があまりにも自然にさらっと流されてしまうため重要なものだと気付くのは後々になってから――というパターンが多く、その情報自体を視聴者が覚えていること自体が少ない。故意に狙っての小出しなんでしょうけど。

この辺り、逆に大きな謎を抱えたミステリー風味の作品と相性が良いのですが、一つ氏には大きな欠点もあります。それはまた後ほど。

コラム岡村_0
▲ メダロット(1999)

こういった造りは90年代以降ビデオやDVDなどの記録メディアが発達したことで『何度も作品を見返せる』機会が増え、アニメのビジネスモデルが変化した影響もあるでしょう。無粋な言葉で言えば氏は『視聴率よりセールに強い物語性を描く』ことに長けた監督、と言えるのかもしれません。

氏のストーリーテラーとしての作風は『視聴者が何度も見返すことを前提に組み立てた物語』を描くと言えます。もちろんこの辺りが『玄人受けする監督』と言われる原因なのかもしれませんが。

クロムクロが抱える不安

コラム岡村⑩鬼ロボ蹴り
さてアクションに関しては十二分に実績を持つ氏なので特に心配はしていませんが、クロムクロに関していささかの不安が無い訳でもはありません。

先に述べましたが岡村氏は登場人物の知り得る情報しか提示しません。なので剣之介が知り得られない情報は画面に出て来ないのです。(書籍やweb等の裏設定以外では)

今作の主人公剣之介は開始時点で重要な情報を何も知りません。(逆に言えば視聴者と同じ立ち位置なので両者の親和性はかなり高いですが)ただ過去に(特に剣之介が眠った後に)何があったのか、また肝心の鬼側の事情は知る術がありませんし、聞けるような人物もいません。

コラム岡村⑪父
可能性があるとすれば今後それらの情報を知る人物(鬼?)が現れて律儀に説明してくれるくらいなのですが……氏の作風からするとそれはあまり期待出来ないでしょう。(後は研究所の方々が頑張って謎を解いてくれるのを期待するしかない?)

過去から現在に繋がるミッシングリンクを放置したまま、現代の戦いだけが終結して万々歳で終わる――って展開だけは一番避けて欲しいのですが果たしてどうなることやら。

コラム岡村⑫学校
それに氏の作風として、主人公が舞台に上がっている間は物語はきちんと描かれるが主人公が舞台から降りるとその時点で物語がパッタリ終わってしまうという点があります。(物語の視点はあくまでも主人公なのでそれはそれで間違ってないのですが)なので放送が終わっただけではどうにもなおざり感が漂う、風呂敷が畳切れていない感が残るものになってしまいがちです。

いわゆる「主人公の物語はここで終わりだけど世界の戦いはまだまだ続くよ」的なパターンですね。大団円には程遠いため消化不良の感が否めません。ただこの辺りの処理は監督の意向を汲み取った脚本家の腕次第でどうにでもなりますので、岡村組に参加するスタッフの皆さんの頑張りに期待するところです。

おまけ。筆者が注目する見所はココだ

コラム岡村⑬食事
最後に筆者が個人的にクロムクロで注目しているポイントを2点ご紹介。

氏が監督を務めた多くのアニメでは食事や料理に関することで登場人物が活き活きと描かれるエピソードがとても多いのが特徴です。また何故か喫煙者が極端にdisられることがよくあります。

なので今作に関してもこの2点に注目しつつ見てみるのも面白いかと。既に4話で剣之介がカレーを食べるリアクションを披露してくれましたが、今後も様々な食事をするシーンが登場するに違いありません(笑)それに由希奈はかなり料理が得意みたいですし、そこら辺の日常描写に期待大です。

戦国の武辺者・青馬剣之介時貞が現代で大暴れするクロムクロ、今後の展開が非常に楽しみです!

(ごとうあさゆき)

 - アニメ

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