アルスラーン戦記/三大老人の一人ボダン カイジ似教祖のとどまらない欲求の先は
2015/07/27
アルスラーン戦記のなかでも屈指の強烈な存在感を放ち続けているジャン・ボダン。
ボダンは、ルシタニア王国国教会であるイアルダボード教の大司教ですが、誰が見ても本来のそれではなく、いわゆる狂信者であることは言わずと知れたこと。
とくに初登場回である5話での顔面アップの数々は、「カイジ」に激似ということで話題にもなりました。
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2015/07/27
アルスラーン戦記のなかでも屈指の強烈な存在感を放ち続けているジャン・ボダン。
ボダンは、ルシタニア王国国教会であるイアルダボード教の大司教ですが、誰が見ても本来のそれではなく、いわゆる狂信者であることは言わずと知れたこと。
とくに初登場回である5話での顔面アップの数々は、「カイジ」に激似ということで話題にもなりました。
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ボダンは「異端審問官」という職に就いています。異端審問とは、教義に反する教えを持つ者に対して審議を行う裁判のことで、主にキリスト教社会のなかで、中世ではよく見られたシステムです。(魔女裁判は厳密に言うと違います)
「悪魔が書かせた書は滅ぼさねばならぬ」
宗教国家では、信仰心の強さが国の強さを表し、信仰に厚い人々は優遇されましたし、罪を犯した際にも自国の宗教に改宗したりすれば刑罰が免れることは多々ありました。
ルシタニアでもそれは同じで、エトワールは熱心な信仰心ゆえに子供ながら小部隊長になりましたし、ボダンもかつてのその熱心な信仰心を買われたのでしょう、大司教になり、そして聖騎士団を持つまでにもなります。
「イアルダボートの恩寵を受けぬ呪われた異教徒め!」
ただありがちではありますが、「イアルダボート神の最たる騎士」としての直情的な言動の数々はボダンを典型的な狂信者に仕立て上げ、要職たちからしてみれば、国を興したり、国政を担うには全く不向きな、策謀・戦略への理解が全く持てない人間へと遂げてしまいます。
ボダンは、ルシタニアきっての策略家ギスカールに敗れてからは、聖堂騎士団とともにマルヤムへと逃れます。(10話)
そして、強烈な信仰心は場所を問わないというか、ある種の才能だと思うのですが、マルヤムを実質的に支配して、教皇までになってしまいます。
でも彼の神運はつきたのでしょう、同じく亡命先に選んだギスカールと出会ってしまい、またもや敗北を喫し、鰐のエサにされるという末路を辿ってしまいます。
慈愛溢れるアルスラーンに触れることによって、かつての憎悪心が消え、その後は神の騎士としてのさびしい人生譚かボダンのように悲劇的な末路ではなく、一人の人間・女性として厳かな最期を迎えることができたエステルとの対比も印象的です。
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