アルスラーン戦記/有能な者が王位につく ルシタニアを捨て、ギスカールはマルヤムへ【ネタバレ】
愚王イノケンティス七世の後ろに苦虫を噛み潰した顔で立つ、弟のギスカール。ですが、兄が愚王だったおかげでその有能さは引き立つというもの。
子安節のその怒りマークと引き換えに。(笑)
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愚王イノケンティス七世の後ろに苦虫を噛み潰した顔で立つ、弟のギスカール。ですが、兄が愚王だったおかげでその有能さは引き立つというもの。
子安節のその怒りマークと引き換えに。(笑)
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タハミーネが捕らえられ、ルシタニア国にクローズアップされたとき、イノケンティスの愚昧っぷりは健在で、ギスカールの苦労は絶えませんでした。
イノケンティスはその怠惰っぷり・何を言い出すか分からない子供のような態度から、ある意味王の威厳が保たれていたと言えます。
ですが、タハミーネに恋することによってそれもなくなり、少なからずいた忠臣たちの真面目な人間が放蕩な人間に執着する感情さえも(イアルダボート教国家に限って言えば、身内に対する慈悲に似た感情)なくなってしまいます。
一応王として、罪状の最終判決くらいは執行していたようなのですが。
「(あの女…どのような死が与えられるのか…)」
そして臣下たちの眼差しは弟へ。ギルカールは、王が恋の虜となり、国政に無関心、敬虔さが失われたこの時に本当の最高権力者になったといえます。
両者に共通するのはその尋常ならざる攻撃性。ボダンはその狂信から。ヒルメスは復讐から生まれた類まれなき剣技と知略から。
攻撃性は、小国ルシタニアが大きくなるために必要だったものと言えます。だからこそ、かねてより王となるべく野心を抱いていたルシタニアの頭脳でもあるギスカールにとって、この二人が動き回る構図は理想的でもあり、ある程度の権力を容認していました。
ただ、どちらも、諸刃の剣であることは確か。ギスカールは助長したボダンを、聖騎士団の団長にパルス(異教徒)の女性をあてがう、いわゆるハニートラップを用いて追放します。
「彼の死は神罰であろう。このような不祥事を起こしては、今後誰もあなたの言葉に耳を傾けますまいな」
ですが、アルスラーン一行新勢力に、ルシタニアは敗北。残った主力であるヒルメスの敗走が大きかったのは言うまでもありません。
その後、ギスカールはマルヤムへと落ち延びます。そして、かつて追放したマルヤムの支配者、イアルダボート総大主教となっているボダンに出くわし、牢獄に繋がれてしまいます。
ですが、苦労人ギスカールはここから報われ始めます。協力者を得て、牢獄を脱出。協力者たちとともにボダンを見事打ち倒し、ギスカールはマルヤムの王位に就くのでした。
敵となり、倒した相手の将がその後別の国とはいえ王に返り咲く展開、そしてそれを描いている作品はなかなか珍しい。
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