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天鏡のアルデラミン/11話感想 イクタとジャン、二人の智将の頭脳戦! 終わりなき激戦に死に逝く部下達…死闘の果てに将兵は何を思う?

      2016/09/26

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密かに張り巡らされた罠。迫るアルデラ神軍その数1万2千。対するはわずか720――北域鎮台に撤退する帝国軍の殿(しんがり)に残ったサザルーフ大隊はイクタの作戦指揮の下、森を焼き火線防御陣を敷いて敵の足止めを図ります。

敵は不眠の輝将、守るは常怠常勝。見える戦いと見えぬ戦い、砲火と知略がぶつかり合うねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン第十一話『常怠vs不眠』のレビューです。

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炎の戦場

▲ Web次回予告#11より

キオカの不眠の輝将ジャンの策略に完全に陥った帝国軍。残存兵力を無事鎮台へと撤退させ北域の防御を完全にするべく大アラファトラ山脈に残った撤退支援部隊。サザルーフ大隊は先行して大森林地帯にバリケード陣を築き、森を焼き払い火線防御陣を形成します。

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「頃合いだ、そろそろ一戦交えよう」とのイクタの進言にマシューは『このまま火線防御陣で時間稼ぎをするべきでは?』と疑問を投げかけます。

イクタは敵が火線陣を迂回してくる可能性を指摘し、さらにナナからの詳細な説明でこの地には別の山道があり、大きく迂回して帝国軍陣地後方に出られることが分かります。同時にこの情報が幽霊部隊を通じて敵側に知られていることも。

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とはいえ森の迂回は遠回りする分だけアルデラ神軍にもデメリット、疲労や糧食の消耗など苦渋の決断になります。一方で帝国軍にとっては迂回されてしまった場合、撤退支援部隊の防御陣が無意味となる上、より多くの撤退時間を稼ぐという本来の目的が果たせません。

ここは敢えて一戦交え、相手に迂回より火陣の強行中央突破を選ばせ、さらにはその上で相手を足止めすることでさらなる時間を稼ぐ――何とも綱渡りな作戦です。

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イクタの読み通り、アルデラ神軍の指揮官も迂回を考えていました。しかしジャンの進言によって結局その場に留まることに。ジャンは神軍の侵攻を誘うため、火線防御の一部を消すであろうことを最初から予想していたのです。

智将同士の策の読み合い。既に見えない戦いは激しく火花を散らしていました。

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撤退時間を稼ぐための交戦が始まります。火線の隙間をやって来るアルデラ神軍に砲撃を浴びせる帝国軍。

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しかしアルデラ神軍は大兵力に物を言わせ、倒れた仲間の屍を踏み越え侵攻してきます。

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砲撃の射界を遮る弾除け杭を巧みに打ち込むアルデラ神軍。その杭の打ち込んだ場所も、何か継続した作戦を思わせます。

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ヤトリ小隊とナナク率いるシナーク族の部隊が杭を除去するため出陣します。実はそれこそがジャンの奸計、帝国軍を釣り出すための仕掛けだったのです。

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杭を抜くため飛び出したシナーク族部隊。次の瞬間エアライフルを使った遠距離攻撃が炸裂します。次々と倒れるシナーク族の戦士達。ジャン取って置きのアルデラ神軍に偽装したキオカのエアライフル部隊の攻撃です。

しかしトルウェイの帝国軍エアライフル部隊の反撃もあってジャンはエアライフルによる戦術がこちらの独占戦法では無いことを思い知らされてしまいます。

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大きな打撃を受けたシナーク族部隊。このままでは部隊の全滅は必死です。アルデラ神軍は攻城兵器である雲梯を出してバリケードに接近。シナーク族を見捨てて撤退するか、部隊への損害を覚悟してシナーク族を救うか?――イクタは決断を迫られます。

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迷うイクタですが決断は一瞬でした。それは彼の右腕たるヤトリの存在。

ヤトリはシナーク族を救うために動く――迷うことなくイクタはシナーク族の生存者を救出し、直ぐ様バリケードへと撤退します。

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撤退完了したイクタ隊とヤトリ隊。サザルーフ大尉はバリケードに火をつけ当初の予定通り、後方への撤退命令を出します。

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多くの犠牲を払いつつもアルデラ神軍の足止めに成功した帝国軍。イクタの部下であるニニカ伍長やシシンディも戦死。その戦いは死者と同時に数多くの生存者――その心に深い傷を残したのでした。

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部隊に大きな損害を出したイクタの判断を非難するスーヤ。ヤトリはイクタにその責は無く、全ては自分の行動がイクタの判断基準になっていたことを告げます。余人には分からないイクタとヤトリの間の深い絆。その前にナナクもスーヤも言葉を失います。そしてイクタはスーヤの非難を甘んじて受け入れるのでした。

しかしここで殿を預かる部隊が踏ん張らなければなりません。本隊――引いては北域そのものを守らねば危機は大きく広がるのですから。

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膠着する戦況に、ついに隠れ潜んでいたキオカの幽霊部隊が動き出します。この判断が戦場にどう影響を与えるのか――二人の智将の知恵比べの行方が気になります。

不眠の輝将の能力を信じて戦う常怠常勝

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今回の戦闘は敵にも味方にも苛烈な犠牲を強いるものでした。それは同時にアルデラ神軍の参謀であるジャンとサザルーフ大隊の参謀であるイクタの目に見えない戦いでもありました。二人の智将の性格の違いもあいまって、その言動の差が大きく描かれています。

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イクタは戦闘開始直前、相手の天才性が自分を上回るのではないかという不安に苛まれます。それほどまでに精神をギリギリまで削り取る戦いをしていたということです。

なぜならイクタの戦いは『輝将がこちらの考えを読み取ってくれること』を前提に組み立てられており、前回マシューに『作戦は綱渡りになる』と言った通りになっています。常に相手にこちらの意図を読み取らせ、なおかつ手の内で踊ってもらう――しかしこれは一歩間違えば簡単にひっくり返されてしまう、まさに綱渡りの作戦です。

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そんなイクタと比べ、ジャンは純粋に目に見えぬ智将と純粋な知恵比べを楽しんでいる様子です。今回の戦闘にしても、戦いには勝てなかったが勝負に負けたワケではない、「一番欲しかったのは情報」と嘯いています。

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しかしその情報こそ今回イクタが最もコントロールしたかったものかもしれません。

今回の戦闘で殿を務める帝国軍は2個大隊にも満たないとジャンは判断しましたが、実際の撤退支援部隊は後方に1400人が控えています。
つまりアルデラ神軍が『敵は1個大隊』と予想して攻撃を仕掛けた場合、その3倍以上の敵戦力と戦う羽目になります。戦力を少なく見せて相手の油断を誘い、意表を突くのは戦術として常道ですが果たして…?

そういった意味では今回シナーク族の救援を優先したのは、友軍を助ける以上に生存者をなるべく救出して友軍捕虜を出来るだけ減らし、情報漏洩を防ぐといった目的が副次的にあったのかもしれません。

戦いは終局へ。果たしてどの様な形で終わらせるのか?

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▲ イクタが好き過ぎて夢にまで見てしまう姫様がカワイイです。そういえば久しぶりの出番でしたね(笑)

ますます激しく苛烈な戦いになる北域アルデラ神軍戦。数多の犠牲を払いながら、己が心を削りながら戦うイクタ達士官候補生。二人の智将の知恵比べがどの様な結末を迎えるのか、次回の展開が非常に楽しみです!

(ごとうあさゆき)

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