そして「少年は王になる」のサブタイトルの回収
もし、このまま2期もなく終えていれば、サブタイトルは果たせぬまま終わっていましたから、そういう意味でも安心したファンは多いでしょうか。(笑)
アルスラーンは王にはなっていませんし、王都を奪還してもいないし、もっと言うと仇敵であるルシタニア軍と戦ったのは一度だけ。決戦とは言いがたいものでしたから。

▲ ヒルメスが倒すべき相手なら、まだそれらしくまとまっていたかもしれない

他にもギーヴのかっこよすぎる離脱と再登場だったり、アンドラゴラスは牢獄で、タハミーネもまた話さず動かずだったりと、伏線も張られたままですし、消化不良な面が若干ありました。

2期が2クールかどうかは発表されてはいませんが(長さ的に2クールでしょうけど)、元々4クールものの予定だったのかもしれません。
2期決定には「円盤」の売り上げが重要
というのは知られている事実。円盤とはBD/DVDのことで、2期製作の費用をこれで賄うわけですね。(原作の売り上げは原作者と出版社にしかいかない)

アルスラーン戦記のBD/DVD1巻の初動売り上げは5000枚前後でした。業界も辛いと言われている今、2期製作には5000枚でも少ないとされています。(しかも、日曜夕方枠は放映料金が高く、なお更。)
そのため、アルスラーン戦記の2期決定の理由は、元々4クールものであったか、他の理由を考えるのが妥当なのですね。

▲ もちろんグッズの売れ行きも

▲ アンドラゴラスがアルスラーン戦記の顔とはちょっと(笑)
作品力がポイントだったのかもしれない
アルスラーン戦記の作風、魅力は、その王道で確実な物語でした。
アニメは良くも悪くもセンセーショナルなものがうけます(数少ないセンセーショナルの一つ(笑))。主人公が危険にはならず、また古典的な歴史物でぶれもなく、かといって三国志などのように武将たちが特に有名ではないオリジナルもののアルスラーン戦記は、そういう意味では地味な作品と言えました。そこのところは今や大御所とも言える荒川さんで補ったのでしょうね。

▲ 作品の一貫したブレのなさの影響を強く受け、無事生存したエステル
ただ、逆にセンセーショナルなものが浸透しまくった結果、物語性があり、登場キャラが練られていて、展開もどうなるか分からないという作品はかなり減ってしまった、もしくは書かれなくなったように思います。(いわゆる昭和顔が現在受けているようなものですね。まぁリバイバルブームと言っていいのかな。)

▲ 寄生獣もそんなヒット作品の一つだった
今はいわゆるアニメ的な作品、ラノベ的な作品は出回りまくり、物語もキャラも痩せてしまった感があり、飽きられている傾向にあります。その点、アルスラーン戦記は超遅筆であるものの、作品力に関しては安心感があります。(作品力がどういったものかに関しては長くなるので省きますけど、とりあえずは子供と一緒に見ることもできる、人間力を誠実に養える作品といったところでしょうか。)
アルスラーン戦記2期にはそういう側面もあるのかもしれないなぁと、筆者は考えてみますけど、もう一つ、夕方のアニメにしてこのクオリティ、ある種力強く挑んできた姿勢という意味でもまた稀有な作品の一つだったかなとも思います。
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アルスラーン戦記
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