双星の陰陽師／35話感想　誰から死にたい？ 婆娑羅現世大侵攻！千々石の恐るべき罠に十二天将まさかの敗北!?

闇無の計画がじわじわと陰陽連を追い詰める！

日常生活に戻ったろくろ達は修行と学校生活の往復の日々に戻ってきました。そんな中、学校の裏庭で木に打ちつけられた二体の人形が見つかったとの噂が学校内に流れます。


陰陽連上層部より双星を護るという任務を与えられ、転入生として鳴神高校に潜入していた士門は早速調査に乗り出します。


当然の如く調査に同行するろくろ・紅緒・繭良の３人。噂の出処で件の人形を発見、またその付近で士門は地面に残っていた呪力の痕跡に気付きます。


しかしその時、丁度ろくろと紅緒のいた足元に龍黒点が開き、二人だけが別の場所に転移させられます。二人の目の前にいたのは――かつて京都に行く途中で遭遇した婆娑羅、以前の戦いで圧倒的なコンビネーションで苦渋を舐めさせられた婆娑羅コンビの一人、千々石の姿でした。


千々石「お前達を八つ裂きにし、百道の仇を討つ！」
ろくろ「仇？」
千々石「お前らが百道を殺した！」
紅緒「あなたの連れ…百道とは確かに戦った。でも祓うには至っていないはず」

双星をかつての相方・百道を祓い仕留めた仇敵と誤解する千々石。彼は百道が実は闇無の手によってトドメを刺されたことなど知る由もありません。


百道の仇として双星の命を付け狙う千々石。一敗地にまみれた彼ですが、既に双星の《レゾナンス》対策は行っていました。


千々石「双星だけに使える力《レゾナンス》…破るのは至って簡単だ。ただ動きを止めお前達を引き離せばいい」

それは動きを封じ、互いを接触させないこと。触れ合わなければ《レゾナンス》は発動出来ません。双星といえど単独では並よりやや上の陰陽師でしかありません。

強力な呪糸に絡め取られ動きを封じられてしまうろくろと紅緒。そこに士門と繭良が駆け付けます。「双星と戦いたいのなら俺を倒してからにするんだな」と嘯き、ろくろにも手を出すなと言い放つ士門。


士門「天翔顕符。朱染雀羽、急急如律令！」

言うだけの実力を誇り、飛行能力を持つ呪装で婆娑羅を圧倒する朱雀の十二天将。得意の羽根刃のオールレンジ攻撃で千々石を仕留めます――しかしそれは糸で作り出したダミーの傀儡人形でした。


一瞬の慢心の隙を突かれ、千々石に呪糸を身体に打ち込まれる士門。一転、身体の自由を奪われ大ピンチに陥ります。

そして千々石はさらに恐るべき罠を用意していました。この鳴神学園を罠の舞台に選んだ理由、それは生徒を人質に取ることだったのです――

闇無の計画は第２段階へ

これまで現世では単独で婆娑羅も含めたケガレは出現出来ないとされてきました。それは婆娑羅やケガレがその身体の構成を維持するために禍野の瘴気が必要とされていたためです。


婆娑羅も主な活動の舞台は瘴気に満ち溢れている禍野であり、これまで特に気にしている様子もありませんでした。

人間側も安倍晴明が築いた天御柱の結界が存在する限り、現世に禍野の瘴気が侵入することはありません。ですからこれまで特に問題視されることはありませんでした。


闇無「禍野に引き入れた陰陽師達に生成させたものだ…これで自由だ」

しかし闇無はその点を逆手に取り、傀儡化し誘拐した陰陽師にある霊符を造らせます。これが千々石に渡した１枚だけでなく、婆娑羅以外にも、真蛇や通常のケガレでも扱える符札が大量に用意されているとすれば――非常に大変な問題です。

さらには傀儡陰陽師には禍野と現世を繋ぐ禍野戸解錠の符札を作らせることも可能でしょう。これらを組み合わせれば闇無の言う通り、婆娑羅やケガレは今後自由に現世での行動が可能となります。

まさに最初に禍野の瘴気を現世に送り込み、陰陽師傀儡化計画を発動させた時点で天御柱を無効にする手段を闇無は行っていた、ということに……


これまでの現世侵攻は、天御柱の結界によって阻まれていました。かつ結界を弱めることに成功しても龍黒点という手段を用い、そこから大量の禍野の瘴気を送り込まなければケガレも婆娑羅も活動出来ません。

しかしこれからは呪装の霊符『ロウエンガイム』の力によって好きな場所に好きなだけ自由に戦力を送り込むことが出来ます。

しかも現在陰陽連は圧倒的に兵力不足。地域の安全を根底で支える支局陰陽師が軒並み闇無の計略によって傀儡と化し、禍野に連れ去られた状態です。多くの人員を奪われた陰陽連にはケガレの侵攻はおろか、活性化する禍野対策すらまともに出来ない可能性が高いです。


善吉「昨日信州中央支部との連絡が途絶えたそうじゃ。これで連絡不能になった支部は７割以上。それを受け、例の新しい陰陽頭が十二天将に指令を出された。各支部へ応援に向かうようにと」


清弦「ん？ 十二天将に？」
善吉「一体…何が起こっておるんじゃ？」

この異常事態に陰陽頭代行は陰陽連の最大戦力である十二天将を敢えて分散して地方の支局への救援に向かわせます。

支援や救援、後詰は確かに重要な任務ですが、消息を断った陰陽師達の捜索や事件の背後関係の調査の方が先決のはず。しかもこの時期に戦力の分散を行うのはやはりリスクが高く不可解な判断です。


そして狙ったかのようなこのタイミングでの陰陽連最重要人物である双星をターゲットにした婆娑羅の暗躍。猛烈に双星への恨みを爆発させる千々石。敢えて憎しみを煽りこの時期に双星に千々石をぶつける闇無。その真の狙いは果たして…？　この２つ、とても偶然だとは思えません。

生徒全員が人質に!! 果たしてこのピンチに逆転の策は残されているのか!?

千々石の罠にはまった士門。またろくろ達が通う鳴神高校の生徒が千々石によって捕らわれ人質と化していたことが発覚します。まさに身動きが取れなくなるろくろと紅緒、それに繭良。そんな彼らを襲う千々石の恨みと怒り。容赦のない残虐な攻撃。果たして双星チームにこの大ピンチを凌ぐ手段があるのか!?


また気になるのは星火寮の面々。他の支部と違いなぜか星火寮の陰陽師は誰一人欠けることなく闇無の傀儡化を免れています。

繭良も率先して瘴気の穢れ祓いを行うシーンが何度かありましたし、何か特別な穢祓いや清めの儀式を行っていたのか…あるいは清弦が何か手を打っていたのでしょうか。それとも何か別の、双星や小枝にまつわる力がある…？

哲学する婆娑羅・珠洲が双星の元を訪れた理由等気になることは多々ありますが、取り敢えず今は目の前に差し迫った危機をどう回避し、学園の皆をどう救うのか。双星の陰陽師の活躍に期待します！

（ごとうあさゆき）

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