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リゼロとオバロに思ったこと タイプの正反対な二人のゲーム好きの異世界主人公

      2016/08/12

今季春から夏にかけて放送しているRe:ゼロから始める異世界生活。

7話@25
一つ目のピークをスバルが主人公らしい決意を見せた7話で、二つ目のピークを海外勢に「OMG!!」と言わせまくり、震撼させた、まどかマギカ的な世紀末な終末の15話で迎え、

そして放送間近の18話では製作陣自らが三つ目のピーク、神回を宣言しています。それは駅に「18話だけの広告」を張り出すほどでもあり、一体どういったものが放送されるのか、楽しみです。


そんなタイムリープ×ミステリー×異世界転送ものという組み合わせで今季大評判のヒューマンドラマなアニメ、リゼロ。

筆者はとりわけ楽しんで視聴している一人ですが、去年の夏に放送された「オーバーロード」も大好きで、この両アニメに関して、リゼロ放送当初より気になっていたことがありました。ミニアニメと言い、小説特典付与と言い、MYTH&ROIDと言い、似てるなぁと。

最近になって繋がってきたかなと思ったので、つらつらと書きつつまとめてみることにします。

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オバロというダークヒーローもの兼社会派アニメ

リゼオバ4
▲ オーバーロードOP

はじめに少しオーバーロード(オバロ)について説明をすると、オバロはいわゆるオンラインゲームの中に閉じ込められてしまうというアニメです。

主人公である鈴木悟は、モモンガという骸骨の魔法使いのプレイヤーキャラ(アバター)の姿のまま、ゲーム内とは若干異なっている異世界でお馴染みの手探り感で冒険の日々を送ることになります。ゲームの中に飛ばされ、冒険し、ないしは英雄になる物語は今でこそ定番中の定番ですが、オバロは少し趣向が違っていて、主人公の目的は世界征服というダークヒーローな物語。(外見通りではありますね。)

リゼオバ6
配下のキャラたちはとにかくモモンガに心服しているので、鈴木悟はそれに応えようと支配者然としていくのですが、いかんせん現実では一介の社畜なサラリーマンだったせいもあり、頭の中に描くその理想の支配者の姿は「理想の会社の上司像」以外の何物でもありません。支配者然とするのも、配下のキャラが皆、膝をつき、頭を垂れて、全肯定するからちょっぴり嬉しく思いつつしぶしぶといった具合。(従うのはアインズがプレイヤーであると同時に彼ら(NPC)を作った“創造者”の一人だから。)

リゼオバ5
▲ NPCといっても自我はあり、喧嘩もする。(笑)

そんな鈴木悟、もといモモンガ(後にアインズ)に従う配下たちといえば……悪魔に吸血鬼にダークエルフに昆虫型の魔人、竜人やら、末席も挙げるなら、スライム、ドッペルゲンガー、サキュバスに、およそ敵キャラなタイプの人外なる者たち。そんな彼らとアインズが何をするのかと言えば、確かにダークヒーローらしい世界征服に向ける活動ではあるのですが、まさかの彼らに人間社会に溶け込むための“社会性”を教える日々でした。

悪魔たちは皆アインズにだけは心服という名のデレデレ&素直です。だけどメガテンのいうところの悪魔らしく、嫌いはものは嫌い、良くも悪くも自由です。

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「人を簡単に殺すのはよくないぞ」「お前たちがいてこそなのだ」など、アインズはどこかたどたどしく寛大な支配者キャラを演じつつも、金がないことに悩んだり、彼らの人間を見下し、人間のコミュニティを意に介さない悪魔らしい部分や、自分よりも賢い部下の“持ち上げ”に冷や汗をかく内心の普通のサラリーマンっぷりが、声優の日野さんのもとコミカルに描かれていて、オバロはそのアングラな見た目とは裏腹に蓋を開ければとてもキュートな社会派物語です。

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「(え、なにあの高評価…)」

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「(アイツら、マジだ…)」
▲ ここ好きwついでに“息子”がなくなったという設定もある。

プロデューサーが同じ人

そんなダークヒーローな、異世界転送ものという皮をかぶった悪魔たちに社会性を説いていくシュールな真面目さがうけた主人公最強系のオバロのアニメ版は、原作の売り上げを放送中に脅威の100万部以上伸ばし、200万部突破しました。

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俺TUEEEではないものの、次々と謎が提示されていく異世界転送譚であるリゼロもまたつい最近100万部突破したばかり。BD/DVDの初動売り上げこそ、序盤は異世界転送譚お馴染みのセオリー色やスバルの性格が強かったためか、若干の伸び悩みを見せましたが、「3章から物語は本番」というタイムリープものらしい文句の通り、

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一転してレムのデレっぷり・大作らしさを見せていって、特典の豪華さも影響したんでしょうね、結局オバロと同じくらいの売り上げ数の1位を記録したようです。

冒頭でも述べましたが、気になったのは両者の作品の売り方の方です。ちょっと気付くのが遅かったのですが、何でもリゼロのプロデューサーは田中翔さんという方が主に担当していて、オバロと一緒なのだそう。あとは音楽Pの若林豪さんと、オバロではマーレ役だったリゼロではパック役の内山夕美さんが出演してるくらい。結構少なかった。

(どこまで田中翔さんの手が回っていたのか、それは現場の人からの話を聞かないと分からないことではありますが)数名いる中からインタビューを受けていたり、その内容を見ると結構な部分を納得してしまったんですが、折角なので、両作の共通点も探ってみることにします。

オバロとリゼロの共通点

・申し訳程度の現実世界の要素
・「小説家になろう」出身
・主人公はモテない&ゲーム好き
・MYTH & ROIDが歌った
・亜人・人外がかなり多い
・アニメの展開はだいぶ遅め

「どちらも広い意味でクラシック」など、探せばあるだろうけど簡潔には上のような感じ。

レムおち9
世界観を丁寧に描くため、「オバロみたいなアニメを選出してみる」では『狼と香辛料』を挙げましたけど、(リゼロはタイムリープもの・2クールものなので仕方ない面はあるけど)両者ともに展開は遅めでした。

アインズにはお馴染みの戻れない設定、ゲームでないスバルの方には“魔女の呪い”の意味深な描写や、未だ開示されていない謎の伏線がありますが、いずれにしてもどちらの主人公も現実が嫌だという理由からそれほど現実世界に執着は見せません。現代人+ファンタジーのためのあってないような設定ですね。

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▲ GATE まさかの自衛隊と異世界の交流を描いた

亜人(人外の女の子)ブームは、オバロと同時期の『GATE』や極端な例の『モンスター娘のいる日常』などもそうですが、ラムとかディードリッドとか、昔にも少なからずいました。普通の女の子に飽きてきたというのは最近よく聞く理由ですが、実際には思っていたより“リアルではありえない恋愛を繰り広げる萌え的恋愛”とマッチしたな・ウケがよかったという辺りが正確ではあると思います。(この時の愛は人種を超える!というフレーズほどいい文句はないですね。)

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▲ 今となっては貴重なエミリアの3話での戦闘シーン

ヒットアニメの狙い目として、異世界に転送させて、ごりごりファンタジーをさせて、亜人をたくさん登場させて主人公といい感じになるといった内容が浮かんできますけど、その作風自体は割とあって、そういう意味では両者とも定番要素があるということになります。ただ、オバロは主人公のインパクトとギャップがありましたし、リゼロはOPの作りこみや1時間スペシャルなどがありました。(結局ヒットのキッカケなんてやっぱりそういう作品への愛なのかもしれませんね。)

ただオバロの方はアニメも人気で、原作も円盤も売れましたが、製作サイドで上からの指示がほとんど飛んでこなかったという噂もあるほどでした。イメージを気にして会社の方でのプッシュのしにくさとか、そんなよからぬことも考えてしまいますね。

リゼロの製作陣が従来のアニメ通りエミリアとレムを中心にゴーゴーカレーとのコラボだったり、グッズをたくさん作り、色々なところで特典として付与しているのと、その写メが和気藹々とたくさん拡散されているのを見ると、改めて目立った部分はゲームとのコラボに留まっている感のあるオバロは、グッズ展開や口コミ要素を作るのが難しかったんだなぁとか。

オバロとリゼロの主人公にまつわる間逆な部分

それからもう一つ面白いなと思ったのが、スバルと鈴木悟の社会的地位が対照的な点。

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「あーあ、明日は4時起きか…」

・鈴木悟はいわゆる企業戦士なサラリーマンでした。高校生のスバルは家で一日中ゲームをするほどで、働いたことがありません。
・鈴木悟はサラリーマンで営業の経験があります。口ぶりもさすがに紳士。働いたこともなければ、引きこもりのスバルのコミュニケーションレベルはトークの勢いはあるけど相応のもの。
・鈴木悟もスバルもゲーム好きの引きこもりですが、その度合いは高校をほとんど休んで真性引きこもりなスバルが上。
・鈴木悟はユグドラシル内ではギルドマスターをしていて、皆から慕われていた。スバルは以下略

一応フォローしておくと、スバルをけなしているわけではないです。(笑)好きと言うのとはちょっと違うのかもしれないけど、スバルのテレビドラマ的な、ガテン系な主人公っぷりは元からそもそも嫌いじゃないです。(田中さん曰く、序盤のスバルには感情移入してほしくないという想いがあったそうですから、そういう意味では筆者はリゼロを髄から楽しめているわけではないのかもしれません。)

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それはともかく、厳密に言えば、鈴木悟の勤める会社がブラックめいていそうなので、両者ともに社会的弱者なのかもしれません。とはいえ、スバルがまだ高校生な部分を差し引いても、(実際証明してしまいましたし)二人の社会的地位の好感度の差は明らかなのでしょうね。

筆者はこれにも少し感動しました。なぜって、そんな雑草魂なスバルと社会人を全うしている鈴木悟の対照的な二人を似たようなやり方で、同じ田中翔プロデューサーが指示を出し、売り込んでいると考えると。

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またスバルは、転送直後の王都編1周目でエミリアに助けられたことにずっと感謝していきます。凄惨な悲劇が続いてもこの思いは変わりません。それはつまり、作中ではあまりほとんど開かされてはいない部分ですが、スバルの引きこもりの闇が、スバルにとって昏い諦念を伴う相応のものだったこともうかがえます。(多少の性格的要因や、不出来な高校生らしさがありながら。)

それから、もちろんレムの愛がどの時間軸でも同等の規模スバルに与えられたこともスバルは忘れません。結果、二人のヒロインを選べないということで「第一婦人」「第二婦人」という一種微笑ましいやり取りが交わされるほど。実際問題、それを優柔不断と言うのが難しいほどの残酷すぎる悲劇の数々がスバルには降り注いでいくのですが。

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▲ 18話のスバル スバルは段々と顔の皺が増えているような気がする

人が人である限り、人から受ける愛情や施しは無視できない。失敗して死んでは戻り、また失敗しては死んでは戻り…そうして分かり得なかったキャラクターとの交友が成立していくことはスバルの無邪気なまでのゲーム好きもあってAVGのようでもありましたけど、壮絶すぎる死に様と生々しい慟哭の数々でそれはもはやゲームの規模とは言えなくなっていきます。

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リゼロのそうした根っこの部分のヒューマンドラマっぷり、ハートフルさは、タイムリープものではお馴染みの感動ではありますが、ここまでストレートに痛々しくも生々しいヒューマンドラマ寄りの作品はタイムリープもの以外でもなかなか見ません。オバロといえば、アインズ自身には感情の制限がかかり、作られたが故かNPCたちの成長は遅く、かなりの規模な俺TUEEEでもありあまり味わえないもの。

反面スカっとさせてくれもしたオバロは、アニメ的にはかなりスローな展開でした。そんなオバロが受け入れられたことは、どんな世界観であれその世界を丁寧に描くことが大事という一つのクラシックな影響を与えるということ。なろう作品に見識のある田中さんがオバロのそうしたアニメの作り方・紡ぎ方、一つの成功を見過ごすとは1時間スペシャルの点からも考えにくいですし、同じ作画のミニアニメ、MYTH&ROIDのチョイス、レトロ感のあるミニゲーム要素などのオバロとの繋がりの節々は、単純も単純に牽引していった結果なのかもしれません。ちょっとスバルに厳しすぎじゃない…?って思わず言いたくなるくらいには。(笑)(実際言われてる)

他のなろう作品をざっと見たところ、なろう作品だからといって人選がそうした偏りにはなっていないように思えるので、オバロとリゼロで成果を出しているこれからの田中さん+なろう出身作品には注目しておきたいところですね。もちろんこれからの放送内容もじろじろと。(つらつらと書きましたが、リゼロとオバロ、略称が似てる偶然な感動は一人で味わっておきます(´ω`)。)

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▲ 4話最後のスバル 前後の話とかはとりあえず置いておいて、個人的にこのスバルの好き度は三指に入る

 - オーバーロード, Re:ゼロから始める異世界生活

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