クラーク高校出身安西慎太郎　白虎隊の生き残りに　アリスの棘にも

2015/05/12 2015/06/14

クラーク記念高校と言えば、従来の定時制高校とは違い、週五日通うこともできる定時制高校として有名な学校ですね。頭髪や服装に多少の規制があり、不良やギャルなどは少なく、比較的真面目に通学をしたい子が集まっています。

カリキュラムの自由さも売りの一つで、ダンスや歌を学ぶパフォーマンスコースや声優コースなどが選べたりも。

また、ソチで銀メダルをとったスノーボードアルペン選手の武内智香さんや、F1ドライバーの小林可夢偉さん、「I Wish」で大ヒットした歌手の川嶋あいさんなどが卒業していますが、北川景子さん、岡田将生さん、市原隼人さん、NKT48の指原莉乃さんやももクロの有安杏香さん、Kis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔さんなど、結構な数の今をときめく有名芸能人たちが在籍していたことでも有名です。

果たしてこれは校風でもある、「少年よ、大志を抱け」というウィリアム・スミス・クラークの精神がなせる業なのでしょうか？

この、第一線で活躍している芸能人たちがなぜクラーク記念高校に在籍していたか・なぜ花開いたかという問題提起は、今でも日本に根深くつきささっている“由緒ある”の暗澹たる暗がりを抜ける一つの糸口になっているのかもしれませんね。(^-^)/

さて、そんなクラーク記念高校出身の安西慎太郎さんですが、舞台『武士白虎もののふ白き虎　- 幕末、「誠」に憧れ、白虎と呼ばれた若者達-』に出演が決まっています。

役は、横浜流星さんとのダブル主演で、白虎隊のなかで唯一生き残った重要人物、飯沼貞吉（いいぬま・さだきち）を演じます。

中学生世界チャンピオンでもある空手家・俳優の伊藤悌次郎役の横浜流星さんについてはこちら。

安西さんは舞台経験が豊富で、殺陣も得意ですから、若い頃のかっこいい飯沼貞吉が見れることでしょうね♪

今回は安西慎太郎さんと、飯沼貞吉についてほんのり解説します。(｀・ω・´)

ディカプリオ、内野聖陽を目標に　安西慎太郎（あんざい・しんたろう）

◆ 生年　1993.12.16
◆ 出生　神奈川県
◆ 血液　A
◆ 身長　173
◆ 事務所　SPACE CRAFT
◆ ブログ　こちら

クラーク記念高校のパフォーマンスコースに在籍していた安西さん。演劇を学ぶコースとはいえそれは部活感覚で、元々は子供が好きなので保育士になりたいと思っていたそう。

ですが、友達の家に遊びに行った時になにげなく見たDVD、ジョニー・デップ主演の1994年の洋画「ギルバード・グレイプ」が転機になります。
とくに同年代だったレオナルド・ディカプリオの出世作とも言える、未成年らしからぬ素晴らしい演技の数々は、安西さんをあっさりと泣かせて、「この人みたいになりたい」と、俳優への道を決心させたのだそうです。

▲ ギルバート・グレイプ(1994)　他にジュリエット・ルイスなど

他にも好きな俳優に「JIN-仁-」で感動したという内野聖陽さんや、クリスチャン・ベールさんを挙げ、なかなか渋いとこを突きながらも、安西さんの実直な俳優魂を感じます。

▲ 内野聖陽さん演じる坂本龍馬

3つの公演の主役も務めたパフォーマンスコース卒業の際には、「ハリウッドで活躍して、自分の劇団を持つ。」とも語り、校風通りの「大志を抱いて」の卒業だったというわけですね。(^-^)/

そしてそれは、パフォーマンスコースの3,600人もの観客を動員する舞台公演に訪れた50社ものスカウトマンから見事にその一つのチケットを当選することになります。

以降は、スペースクラフト所属の新人俳優として、「テニスの王子様2ndシーズン」「心霊探偵八雲　祈りの柩」5月2日から上演中の「戦国無双　関ヶ原の章」真田幸村役などの舞台活動を中心に、テレビドラマでも「アリスの棘」に出演。

アリスの棘の際には、役柄がオダギリ・ジョーさん扮する西門の15年前ということで、オダギリさんの出演作を網羅して研究したそうですし、これからの活躍が楽しみですね(*´∀｀)♪

「私は白虎隊で死んでいるはずの人間です」

飯沼貞吉は、学業・武術ともに優秀で、とくに武術は、剣術、槍術、弓術、馬術を習うなか、砲術を好みました。

貞吉も、同い年の伊藤悌次郎と同じく、年齢が一つ足りないために入隊ができないことを残念がっていた一人でしたが、やはり同じく長身という理由で、年齢を偽り、入隊を許可されます。
記事下部に伊藤悌次郎の略歴と共に時代背景も書いていますから、よかったらどうぞ。

そして出陣するも白虎隊は退却。鶴ヶ城の天守閣から立ち上る黒煙は、隊員たちから全ての言葉と気力を奪いました。
長いような短いような、悄然とした時間がしばらく経ち、しかし隊員たちはぽつぽつと口を開き始めます。自分たちは今後どうするべきか。

そして、自刃かまだ戦うか、論議の末、敵に生け捕られて恥辱を味わうよりは……と、隊員たちは自刃を決意します。

飯盛山の表面が哀れな（けれども彼らにしてみればとても当然な）若すぎる侍たちの鮮血で染まっていくなか、15人の介錯を務め終えた隊員の西川勝太郎は、山下を通りがかった農民を見つけると、「金と刀を渡すから自分たちの死体を地中深くに埋め、敵に首をとられないようにしてくれ」と頼みます。

しかしこの農民は非情にも奪うだけ奪い、埋めることはしませんでした。彼らにしてみれば会津も新政府も一緒で、単なる“おいしい話”でしかなかったのかもしれません。

そうして懐に手を入れられ、金と刀が盗られていくなか、貞吉の懐に手が入ると、急所を外していた貞吉は朦朧とする意識のなか敵かと思い、その手をつかみます。しかし喉を突いているため、貞吉は声が出ません。
農民は死ぬのはまだ早いと言って、貞吉を近くの岩山まで運びましたが、水をくんでくるといったまま、戻ることはありませんでした。

その後、今度は印出ハツという女性が倒れている貞吉を見つけ、介抱します。この女性は逃げた農民とは違い、貞吉を放置することはなく、隠れ家に連れ帰っては懸命に看病してくれたと、後の回想手記で、貞吉は語っています。

図らずも存命し、病気が回復した貞吉は、その後長州藩士・楢崎頼三に引き取られました。貞吉は預けられた家で何度も自殺を思い立ちましたが、頼三に説得され、それからは勉学に励むようになり、電信技師や便電信局局員（今で言う郵便局）として働きながら、仙台でその生涯を閉じました。

既婚。3人の子どもにも恵まれ、長身ですっきりした顔立ち、スーツにネクタイがよく似合い、若い頃はイギリス人と間違えられたそうです。

貞吉は自分だけが生き残ったことに対して後悔の念が絶えなかったと言い、日清戦争での従軍中にピストルの持参を促した人に、「私は白虎隊で死んでいるはずの人間です」とどこか寂しそうな笑顔で言ったそうです。それは現代に生きる私たちが共感できない感情に違いありません。